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越中一郎個展「悲しみの果に」0
越中 一郎 Ichiro Koshinaka
本展では現在に越中の眼差しの向く先を、大きく二つの作品から知ることができます。 展示されるビデオ作品《冥婚》は、未婚のまま亡くなった者を、その遺族が不憫さや一族の繁栄を閉ざすかもしれないという恐れから、死後婚姻させるという日本・アジアに多く見られる風習「冥婚」を題材にした作品です。現在において婚姻とは、歴史、人種、経済などの様々な背景が溶け合う多様性の因子であるとも言えますが、こうした風習では価値感や概念などの見えない「正しさ」が、死後の世界を「在る」として死者にまで向けられ、求められている様を切り取ったものといえます。また、本展では越中の新たな試みとして、AR(Augmented Reality=拡張現実)を取り入れた「写真作品」を発表します。端末を通して見る目の前の風景に仮想の視覚情報を加え、重ねて表示するこの技術は、近年では『Pokémon GO』に取り入れられるなど、私たちの身近に多く見られるようになりました。自身の目を通して見る「在る・無い」の境目が消失した風景の中で、では私たちはその風景により疑いの目を向ける必要があると言えますが、しかし実際にはそれらは「在る」とされて扱われ、実際の行動や思考にまで大きな影響を及ぼしている。越中は新作《checking "checking answers"》のシリーズにおいて、ARを通して見る世界に、シンプルでユニークな方法で「答え合わせ」という眼差しを導入します。これにより鑑賞者は自身の目の前の風景を「見比べ」ることになるのですが、次第に「答え合わせ」の「答え(正しさ)」をもまた、疑うべき対象であるかもしれないことに思い至るのでは無いでしょうか。
越中一郎個展「悲しみの果に」0
越中 一郎 Ichiro Koshinaka
EXHIBITION
越中 一郎 Ichiro Koshinaka
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Profile
越中 一郎 Ichiro Koshinaka
Koshinaka Ichiro
これまで、「集合(集団)」と「個(個人)」の関係性に着目し、偶然または必然によって集まった「個」の集合の中における存在意義や相互作用について、人、花、火、星など、さまざまな素材を用いて写真と映像作品を制作してきました。2007年に発表したシリーズ《echoes》は「UBS Young Art Award」を受賞。以降、越後妻有アートトリエンナーレ(新潟)やWROメディアアートビエンナーレ(ポーランド)など、国内外の国際展に参加し、活動の幅を広げています。
近年では、SNSやメディアによって形成された一つの視点や判断が、実際の事実とは無関係に、あたかも客観的な真実であるかのように社会に定着していく現象に強い関心を抱いています。情報量が飛躍的に増大した現代において、本来多様であるはずの「個」の視点や認識が見過ごされることに疑問を持ち、とりわけ、集団心理の中で曖昧な根拠のまま、思考・言葉・行動が加速度的に同一方向へと流れていく状況に対し、問いを投げかけるような表現を追求しています。
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